2008年2月15日金曜日

余談です。

 友人から送ってもらった本「天国へのビザ」を読みました。
現役の医師が尊厳死に関して書いた本です。著者は自分の意見を述べるでも無く、実話を淡々と書いているのですが最後は涙が止まらなくなりました。
 生まれる事、死にゆく事、誰にとっても一生に一度しか無い特別な事です。
 自らの病を知り死と対峙した時に残りの人生をどう生きるかはせめて自分で決めたい、と誰でも思うのでは無いでしょうか。でも悲しいかな、病によってはその選択の自由も無いのです。

 本の中にはほんの少しですが老人介護施設に触れた部分があり、その短い文に強く同感を覚えました。
ガン治療の話とは離れた話になってしまいますが、私にも老人介護施設に関しての苦い体験があります。

 数年前、義母と義父が同時に具合が悪くなった事があります。
色々ないきさつがあり、義父を一時的に介護老人施設に預けるという運びになりました。その際に10数件の施設をまわり、面接を受けました。
 受け入れ先の審査は厳しく、短期間に、各施設で数々のかなり突っ込んだ内容の質問をされ、挙げ句入所を断られるという繰り返しに精神的にも厳しい日々でした。

 その中で訪れたいくつかの施設に私は正直「怒り」を覚えました。
とある施設で面接を行った職員は20代前半の女性、やたら明るく、「何でも言っちゃって下さいね!」と場違いな笑顔を私に向けて質問を始めたのです。
 変なペンの持ち方で誤字混じりにメモを取り、語尾を伸ばす話し方や敬語の使い方が間違っている事が気になりながらも、何よりも自分の作り込んだ明るさがこちらの気を和ませると信じ込んでいる勘違いに逆撫でされました。
 何故このような若い娘に家族の極プライベートな事を話さなくてはならないのか、と途中退座したい気持ちを堪えました。

 もう一つの施設では胸のポケットにタバコの箱を覗かせた若い女性が出て来きました。その女性は前述の女性に反して終始表情は暗く、声も小さくマニュアル通りに質問を続け、最後に家族用の用紙に書いてある内容を「規則なんで一度頭から音読して下さい」と私に告げました。仕方無く読み上げましたが、まるで無意味なこの行為を強要させられるのは、やはり家族の気持ちを逆撫でする以外の何ものでもありません。

 このような仕事には資格がいるのだとは思いますが、面接という、直接家族に関わるデリケートなシーンには紙面上の資格では無く、ある程度同様の経験があり心境を理解出来る職員、もしくはきちんとした対応の出来る年齢の(もしくは常識的知性のある)職員を出すべきでは無いでしょうか。
 
 医療にしても介護にしても、施す側にそれを受ける側の気持ちを真に察してくれる人がいるのといないのとではあり方がまるで変わると思います。
 
 ブログの主旨とはずれて何だかただの思い出し愚痴のようになってしまいました。
 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ぽんさん
はじめて書かせていただきます。
私の母(71歳)も昨年12月に肺腺癌ステージⅣの告知を受けました。しかも癌性リンパ管症を発症しており治療しないと余命2,3ヶ月との
こと。病気など縁のなかった母がいきなりこのような告知を受け家族共々どん底の状態に落ち込みました。
今年1月早々に入院、イレッサによる治療を開始しました。最初やや改善、その後横這いではありましたが、血液数値、酸素状態も改善してきたため1/25に退院となりました。
喜んでいたのも束の間、その後の検査で進行が認められたため僅か一週間で再入院となりました。
現在は点滴化学療法(パクリ+カルボ)をbiweeklyで投与、先日2回目の投与(これで1クールですが)が終了、今月末に第1回目の効果確認を行います。

ぽんさんのブログを拝見し勇気を頂き、自分も前向きにいかねばと感じた次第です。
また時々寄らせていただければと思っています。長々と失礼しました。

ぽん さんのコメント...

>ヒロさん
初めまして!コメントをありがとうございます。表示が遅くてごめんなさい。
お母様、ご心配でしょう。ご家族がどん底の落ち込んでしまうご様子、痛いほど分かります。我が家も一緒でした。

お母様は今は日常生活はいかがお過ごしなのでしょうか?抗がん剤の治療の効果が上がる事を祈っています。
 まだ沢山の薬がありますから希望を持ってお母様を支えてあげて下さいね。
 お互い頑張りましょう!