2008年11月13日木曜日

 母が亡くなってから何度か母の夢を見ました。どの夢にも全部病気が分かってからの母の姿で出て来ます。
夢の中でも母は辛く悲しげな表情をしていました。きっとそれは私の頭の中で起きている出来事、亡くなる前の母の姿を鮮烈に焼き付けてしまったからでしょう。母が夢の中で私に会いに来てくれた訳では無いと思っています。

 ところが先日ようやく少し様子の違った夢を見ました。
父と結婚する前の母が私と一緒に買物をする、という夢でした。
結婚前の母は今の私より10才以上も若いのですが、夢の中で私は年下の母に「お母さん」と呼びかけていました。

 夢の中の母は溌剌としたとても明るい若い女性でした。
あるお店でペンダントを買う母を見て私は「ああ、この時に買ったのがこれなんだ」と思ったのです。夢はそこまでしか覚えていません。

 これ、とは母の遺品の中で私が一番気に入っている、母のイニシャルが彫刻されている小さい丸い金のペンダントです。裏には『8.Jun.1964』と彫ってあります。24才の母はきっと何かの記念にこのペンダントを買ったのだと思います。小さい頃良く母の胸にこのペンダントがあったのを覚えています。今は遺影にかけてあります。

 ほんの少しの間でしたが母に会えた気がしました。また母からは元気な頃の姿を見せる事で「いつまでも悲しんでいないで。私の病気はもう終ったの。今は楽しい頃の事しか思い出せないくらい安らかだからね」と言われた気もします。

 

2008年11月9日日曜日

もう11月

 久々の更新です。東京もすっかり冬の気温となり、朝晩は暖房が必要なくらいです。年々春や秋などの中間的な季節が短くなっていくのを感じます。初夏や初秋は一番好きな季節です。
 先日日光へ紅葉を見に行きました。あまりの人の多さに閉口しましたが、それ以上に圧倒的な紅葉の山肌にただただ感動するばかり。
ちょうど昨年の10月にも母と紅葉を見に白川郷や郡上八幡をまわりました。あれからたった一年しか経っていないのに随分前の事のように感じます。郡上八幡で人力車へ乗ろう、と母が言うのを私が貧乏性で「もったいないよ、歩こうよ」と言ったのに対して母は「もう二度と無いかも知れないから」と言い、一緒に乗ったのは今では切なく、尊い思い出です。

 母がこの世を去ってもうすぐ4ヶ月が経ちます。今になってどうしても会いたくなったり話がしたくなったり、様々な後悔や悲しみがこみ上げて来て情緒不安定気味になり感情がコントロール出来なくなる時があります。
 今年の4月末から強い吐き気が起こり起き上がれなくなり、入院、そのまま寝たきりになりこの世を去った母。67才と言えば現在ではまだまだ老後を謳歌出来る年です。
私のためでは無く、母自身の為にもっともっと生きていて欲しかったです。ようやく少し自由になれた老後をもっともっと楽しんで欲しかったです。

 生まれて初めての一人暮らしを経験している父は、想像していたよりはしっかりとやっています。娘たちには迷惑をかけないように父なりに一生懸命なのだと思います。月に一回は実家に3泊ほどしていますが、夕暮れ時になると庭でぼんやりとタバコをくゆらす父の姿を見ます。母が大切にしていた大好きな花でいっぱいの庭をキープしようと父は慣れない園芸も始めました。
花を眺めながら母の姿を見ているのでしょう。

 筑紫哲也さんが亡くなりました。
氏が番組で病気を告白した時、母はまだ生きていました。一緒にびっくりした事を覚えています。
分類までは発表されませんでしたが、氏はヘビースモーカーだったとの事、上皮扁平ガンだったのでしょうか。
いずれにしてもあらゆるガンの中で肺癌は本当に恐ろしい病気です。